中小企業におけるリーガルチェックの重要性
「リーガルチェックにコストをかけられない」と考える事業者も多いかと思いますが、これは大企業だけが行うものではありませんし、中小企業にとっても重要であることに変わりはありません。
その重要性は次のように説明することができます。
紛争処理にかかるコストを削減する
法的トラブルが実際に発生すると、その解決には多大なコストがかかります。
さらに訴訟の準備や出廷に費やす時間が生まれたり、それに伴う機会損失が生じたりする可能性もあります。
中小企業では、このような予期せぬ支出に対する資金的余裕が少ないことが多く、1つの紛争処理が資金繰りを圧迫することもあるでしょう。
そこで契約書の適切な作成や取引条件の明確化といった基本的なリーガルチェックを事前に行うことが、中小企業にとっても重要といえます。
大手企業との取引獲得のため
大手企業は自社のサプライチェーン全体におけるコンプライアンスリスクに敏感です。
関係性の深い企業に法令違反や不正行為があると自社の評判にも傷がつくため、取引先選定の際にコンプライアンス体制の確認が行われることもあります。
そこで大手企業との取引機会を逃さないためには、最低限のリーガルチェックの体制を整えておくことが望ましいでしょう。
また、事業拡大や海外進出の際には新たな法規制への対応が求められます。
この場面においても、リーガルチェックの体制整備が進んでいなければ新たな市場に適応することができず大きな機会損失を生むおそれがあります。
個人保証のリスクを軽減する
中小企業では、経営者個人が会社の債務に対して保証人となっていることも珍しくありません。
この場合、法的トラブルが会社の財務状況を悪化させると、最終的に経営者個人にまで影響が及ぶ可能性があるのです。
また、悪質な不正行為があったとき際にもその内容次第では経営者個人が責任追及を受けたりペナルティを受けたりする危険性があります。
円滑な資金調達の実現
金融機関からの融資、投資家からの出資などにより資金調達を進めるには、自社に支払い能力や成長性があることなどをアピールする必要があります。
しかし、見られるのはこうしたポジティブな要素だけではありません。
コンプラ意識の低さなどのネガティブな要素も判断材料となりますので、資金調達を成功させるためにもリーガルチェックは重要な意味を持つといえるでしょう。