司法書士 信田 泰佑 (司法書士あいか総合事務所)
特別受益を考慮しなくていいのは...

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特別受益を考慮しなくていいのはどんなケース?該当する4つの状況を解説

特別受益とは、特定の相続人が被相続人から受け取ったマイホーム購入資金の生前贈与や遺贈などの特別な財産のことです。
遺産分割の不公平をなくすためのルールですが、特定の状況においては計算から除外されるケースがあります。
本記事では、遺産分割において特別受益を考慮しなくていい具体的な4つの状況について解説します。

遺産分割で特別受益を考慮しないケース

遺産分割において特別受益を考慮しない主なケースは以下の通りです。

  • 持ち戻し免除の意思表示がある
  • おしどり贈与の特例を適用した
  • 扶養義務の範囲内による支援や贈与であった
  • 相続開始から10年が経過した

それぞれについてみていきましょう。

持ち戻し免除の意思表示がある

被相続人が生前贈与や遺贈の財産を遺産分割の計算に含めない意思を示していた場合は、その意向を優先します。
これを持ち戻し免除の意思表示といい、財産を特定の相続人へ多く残したいという被相続人の意思を尊重する制度です。
具体的には、遺言書や贈与契約書などに明確な意思を記載しておくことで、対象の財産を計算から除外できます。
ただし、持ち戻し免除の意思表示は遺留分の算定には影響しません。
他の相続人の遺留分を侵害している場合には、遺留分侵害額請求の対象となる点に注意が必要です。

おしどり贈与の特例を適用した

婚姻期間が20年以上の夫婦間で居住用不動産またはその取得資金の贈与・遺贈が行われた場合は、持ち戻し免除の意思表示があったものと推定され、遺産分割の計算対象から除外されます。
なお、「おしどり贈与」は贈与税の配偶者控除(2,000万円)を指して使われることもありますが、ここでご紹介するのは民法上の推定規定です。
これにより配偶者は、住み慣れた自宅を確保したうえで、預貯金などの他の遺産も本来の相続分通りに受け取ることができます。

扶養義務の範囲内による支援や贈与であった

親族としての扶養義務を果たす範囲内での生活費の援助や祝い金などは、特別受益から除外します。
特別受益に該当するのは、遺産の先払いとみなせるほど高額な贈与や遺贈です。
他の子どもと同程度の大学学費、一般的な金額の結婚祝い金、自立までの生活費支援などは、原則として対象となりません。
ただし、家庭の資力や他の相続人との均衡によっては、特別受益と判断される場合もあります。

相続開始から10年が経過した

相続開始から10年が経過した後に遺産分割を行う場合、特別受益や寄与分を考慮した具体的相続分の主張は、原則としてできなくなります。
10年を超えると、特別受益や寄与分といった個別の事情を考慮せず、法定相続分に従って分割を行うルールが適用されるためです。
ただし、以下のケースでは10年を経過した後でも特別受益や寄与分を考慮した遺産分割が可能です。

  • 10年が経過する前に、相続人が家庭裁判所へ遺産分割の調停・審判を申し立てていた場合
  • 10年の期間満了前6か月以内にやむを得ない事由があり、その事由が消滅してから6か月以内に家庭裁判所へ申し立てた場合
  • 相続人全員が、特別受益や寄与分を考慮した分割に合意している場合

また、2023年4月1日より前に開始した相続については経過措置があり、「相続開始から10年」と「2028年4月1日」のいずれか遅い時までは主張が可能です。
すでに10年以上経過しているケースでも間に合う場合がありますので、早めにご相談ください。

まとめ

特別受益は特定の相続人が受け取った生前贈与や遺贈を調整するルールですが、持ち戻し免除の意思表示やおしどり贈与の特例などによって考慮しないケースが存在します。
何が計算の対象外となるかを正確に把握することで、親族間での無用な対立を防ぎ、スムーズな遺産分割協議につなげられます。
生前贈与や遺贈が絡む複雑な相続手続きでお悩みの際は、司法書士への相談をおすすめします。

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